「ゲシュタルトの祈り」

「実存主義」や「禅」なども、ゲシュタルト療法の「姿勢」に強い影響を持ちました。
パールズ自身は、芸術家志望の側面があり(晩年の自伝によく現れていますが)、若い頃に交流したボヘミアンたちの風情や思想にもとても強い影響を受けています。晩年の風貌や、エキセントリックな自伝にも、その面が強く現れています。
日本では無害化されて、そのイメージがつきにくくなっていますが、このような側面が、ゲシュタルト療法を、多くの生真面目で凡庸な心理療法との違いを生み出す要素にもなっているのです。

ゲシュタルト療法の中では、フリッツ・パールズによる「ゲシュタルトの祈り Gestalt prayer 」というものがよく知られています。ゲシュタルト的な実存主義の表明ともいえるものです。

この言葉は、最近の日本では、センスの悪い人たちに、過度に生真面目に、ベタに受けとられていますが、当然、その語り口や使い方を見ても、これはパールズ一流の「皮肉」「ユーモア」でもあるということです。ワークショップなどでこの言葉が唱えられた後に、(笑)となっていることからもそれはわかります。
この言葉には、芸術家マルセル・デュシャン(※)のような、逆説的で動的な飛躍が含まれているということです。
だから、人に解放をもたらす明るい力があるのです。



私は私のことをやり、

あなたはあなたのことをやる。

私は、あなたの期待に応えるために、

この世界にいるのではない。

そしてあなたも、私の期待に応えるために、

この世界にいるのではない。

あなたはあなた、私は私。

もし私たちが出会えるとするならば、

それは素晴らしいことだ。

もしそうでないならば、

それは、いたしかたないことだ。

フリッツ・パールズ


(※)彼は、水洗便器に『泉 Fountain 』というタイトルをつけて、展覧会に出品しようとして(拒否されて)、その後の美術界に大きな影響を与えることになりました。サルバドール・ダリのあの髭も、デュシャンの作品に由来するものと言われています。
「われわれの友マルセル・デュシャン
は、たしかに20世紀前半の最高の賢人であり、(多くの人にとって)このうえない困りものである」 ―アンドレ・ブルトン(江原順訳)
「70+40=110 大声でまた小声で(とりわけ心の中で唱えると) 70+40は、110以上になる――(極薄 inframince によって)」「すべての“同一物”は、どれほど同一であっても(そして同一であればあるほど)、この極薄 inframince の分離的差異に近づく」(マルセル・デュシャン『極薄』/岩佐鉄男訳) このような言葉は、彼の方法論が意図的なものであり、彼がどのような透視的な知性で、物事を見ていたかをうかがわせるものです。

 

また、「ゲシュタルトの祈り」やゲシュタルト療法が日本人にもつ意味については下記をご覧ください。ゲシュタルト療法で重視する自立性と独立性を解説しています。
「アウトプットとゲシュタルト療法Ⅰ」
「ゲシュタルト療法とは はじめに」

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