ここでは、心の悩みやその解決方法について取り上げています。
心の悩みは、正しい理解と正しいアプローチを使えば、必ず解決します。
さて、心の悩みや苦しみは、私たちの「潜在意識」の中にある分裂や葛藤(ダイナミズム)から生まれてくるものです。
しかし、世間一般ではその「本質的な要素」があまり理解されていません。
専門家でさえ、その本質的な様相が理解できているどうかは怪しいと言えるでしょう。この領域においては、単なる学説や方法論のお勉強ではなく、本人(セラピスト)の深い体験的(実感的)理解が何よりも重要な要素になるものですので。そこから実践のスキル(腕)も生まれてくるからです。
そのようなわけで、現代日本では行政統計で「年間10万人」規模で、精神疾患の方が増え続けているという事態になっているのです。この数字に、ひきこもりの方や少し調子がすぐれないという方を加えれば、この数倍、途方もない人口の人々が、この現代日本では苦しんでおられる形になります。
その最大の問題(マチガイ)はどこにあるのでしょうか?
それは、現代社会で普通に考えられている「主体(=私たちが「自分」と思っているもの)=顕在意識」が、実際は、主体などではなく「映し出された影」のような存在でしかないというところにあります。
私たちは「影」なのです。
このような話は、普通の人たちは、子どもの頃から一度も聞いたことがないと思います。
このことは、一部理論的には知られていますが、人々に「実感的」に理解されているわけではありません。
私たちは普通、「自分は、この『私』である」と自明に感じ、考えています。
「この『私』が体験しているのが現実である」と自明に感じ、考えています。
しかし、真実は、それが間違っているという点なのです。
私たち、この「ものを考えている私」たちは「影」にすぎないのです。
この事実は、現代社会のメインストリームの考え方・感じ方、西洋的「近代主義」が前提としている「主体感覚(主体観)」に真っ向から反対するものです。
しかし、少し冷静に考えると分かることです。
私たちは、モヤモヤした気分を簡単には変えることができません。いっとき、気を紛らわせても、すぐにモヤモヤは戻ってきます。
私たちは、落ち込んでいる時、簡単に元気になることはできません。いっとき、気を紛らわせてカラ元気をつくっても、すぐに落ち込みは戻ってきます。それが変わるには、時間の経過が必要となるのです。
私たちは、元気のない時、気力のない時、簡単にモチベーションを上げることはできません。困難なことに立ち向かうことはできません。これは、みな自然なことなのです。
そして、私たちの人生の「実体」は、この気分や感情と、それを生み出す母体(本体)なのです。
この気分や感情が、日々私たちの人生を彩り、実体となっているのがおわかりになるでしょう。
そして、私たちは、自分の心をコントロールすることはほとんどできないのです。
そして、それは「心の構造」上、そうなっているからできないのです。
それは、私たちの「自分」と感じているものが「映し出された影」にすぎないからです。
「映し出された影」にすぎないものが、「本体」に影響を与えようとしても、無理があることはわかると思います。
それは「ひっくり返った(顚倒した)事態」です。
そこに「治らなさ」があるのです。
「間違っている主体」「ニセモノの主体」を「自分自身」であると思っていることに、最大のボタンのかけ違い(前提のマチガイ)があるのです。
この逆説的な事態に、どのようにアプローチとしていくかが取り組みの核心となります。
(東洋の思想、例えば、仏陀や仏教の「無我」や「空」の思想は、昔からこの事実を知っていました。そのため、禅の考案や問答、その他のようにさまざまな逆説的な方法を使って、このジレンマ(顚倒した事態)を抜け出す方法に取り組んでいたのです)
しかし、心の悩みは、正しい理解と正しいアプローチを使えば、必ず解決します。
ぜひ、まずは以下をご参考にしていただければと思います。
- 「苦痛な気分」―その構造と解決法
- 「自信がない・自己肯定感が低い・生きづらさ・心の葛藤」の構造と創造力
- 「抑うつ感・憂鬱感・罪悪感・自責感・自己懲罰感・恐怖感・無力感」の構造と解決方法
- 強い不安への対処方法 不安は抑圧された興奮
【ブックガイド】
ゲシュタルト療法については、基礎から実践までをまとめたこちら↓
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
気づきや、変性意識状態(ASC)を含むより総合的な方法論については、拙著
入門ガイド
『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』
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