クラウディオ・ナランホによるゲシュタルトの基本姿勢

 先ごろ亡くなったクラウディオ・ナランホ Claudio Naranjo 博士は、南米チリ出身の精神科医ですが、フリッツ・パールズの直弟子である人です。
 しかし、同時に、サイケデリック・セラピー(アヤワスカ/ヤヘー、イボガイン、MDA等)の初期研究者(注1)の初期の重要な研究者です。
 また、スーフィズム(イスラム神秘主義/イドリース・シャー)、チベット仏教(タルタン・トゥルク)、グルジェフ系の第四の道の探求者(オスカー・イチャーソ)等々との交流・師事を通して、西海岸の世界に、秘教的メソッドをさまざまに紹介した人物です。
 現在流布している「エニアグラム」の初期の作成者(注2)としてなど、さまざまな顔をもつ興味深い精神の探求者です。
(注1)彼は、アヤワスカについての最初の国際会議で、冒頭の講演を務めています。
(注2)イチャーソの秘教的実践メソッドを、精神医学の性格論と結合させて、今ある「性格のタイプ論」の形にしたのは、ナランホの功績です。

 その彼が、ゲシュタルト療法伝播の初期にゲシュタルト療法の基本姿勢について簡潔にまとめた文章があります。「気づきの3つの領域」を意識したものです。時代の中でのゲシュタルトの位置づけを感じさせる禅と実存主義を強調した魅力的な言葉たちです。別の文脈で、チャールズ・タート博士から「ゲシュタルト・スーフィズム」という言葉を語らせた、彼の感覚(センス)がよく表れています。

①今に生きよ。過去や未来ではなく現在に関心をもて。

②ここに生きよ。目の前にないものより、目の前に存在するものをとり扱え。

③想像することをやめよ。現実を体験せよ。

④不必要な考えをやめよ。むしろ、直接、味わったり見たりせよ。

⑤操作したり、説明したり、正当化したり、審判しないで、むしろ表現せよ。

⑥快楽と同じように、不快さや苦痛を受け入れよ。

⑦自分自身のもの以外のいかなる指図や指示を受け入れるな。偶像崇拝をしてはならない。

⑧あなたの行動、感情、思考については、完全に自分で責任をとれ。

⑨今のまま、ありのままのあなたであることに徹せよ。

「サイケデリック・シャーマニズムとメディスン(薬草)の効果―概論」
「アヤワスカ―煉獄と浄化のメディスン(薬草)」
「さまざまなメディスン(薬草)―マジック・マッシュルーム、ブフォ・アルヴァリウス(5-MeO-DMT)」

※ゲシュタルト療法については基礎から実践までをまとめた拙著
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
をご覧下さい。

↓動画「ゲシュタルト療法 気づきの3つの領域