なぜ、ゲシュタルトなのか ゲシュタルト療法を選択した理由

さて、クライアントの方に、日本ではまだマイナーな(?)ゲシュタルト療法(ゲシュタルト的アプローチ)を、筆者自身がどのように見出し、主たる方法論に「フリーゲシュタルト」としてすえたのかとたまに聞かれることがあります。

数ある方法論の中から、ゲシュタルト的アプローチ(ゲシュタルト療法)を選んだいきさつについてです。そのような時、そこに至った経緯をいろいろとお話をするのですが、その話がゲシュタルト療法の特質をよく伝え、クライアントの方の取り組み方の参考になるということがわかって来ました。

そのため、ここでは、筆者自身がどのようにゲシュタルト療法を見出し、位置づけ、どこにメリットを感じたのか、また、それをどのように応用的に活用することで、自分の能力を拡大し、人生を変えていくことになったのか、また他の方々にご提供する方法論とするに至ったのか、そのことについて少し書いてみたいと思います。


①人生の変化(突破口)を求めて

さて、ゲシュタルト療法との出会いは、その昔、自分の能力や創造力を拡張する、効果的で明確な方法論がないかと、体験的心理療法の領域を色々と探している中で起こりました。

その当時、仕事面においても、生活面(ライフワーク)においても、自分の能力・創造力に、非常な行き詰まりを感じて、変化の突破口を探している時期でした。会社の配置転換なども不如意で、仕事では、毎日、人生の時間を無駄にしていると焦っている状況でした。このまま毎日、同じようなことを繰り返していても、人生が変化しない、突破口がないと感じていたのでした。

ただ、他人や会社を当てにしていては、状況を打開できないこともわかっていました。自分で状況をなんとかするしかなかったのです。そのために、自分の能力や創造力自体を、もう一段、ブレイクスルーさせる必要をどこかで感じてもいたのでした。

また、同時に、当時は、時代の変化の時期、インターネットが急速にひろまっていく時期でもありました。社会インフラとしてのネット普及が起こり情報コミュニケーションの形態が変わり始めていました。

そんな中で、自分がそれまで働いていた既存の業界、既存の事業、既存の仕事のスキルが、皆、急速に陳腐化し、無価値になることが予測されました。自分が、長年苦労して得た、わずかばかりのスキルでさえ、さきの世の中では、もうなんの役にも立たなくなる。寄りどころとすべきスキルも藻屑のように消えてしまうということがわかっていたのでした。

そのような重い閉塞感の中で、技術の進歩や、社会環境の変化に左右されずに、普遍的な価値を持つ、原理的なスキル、能力とは何だろうか、そういうものを得られないかと考えていたのでした。まったく先の見えない行き詰った状況の中で、あてどない焦燥感に駆られていたのでした。

また一方、多少、知見や変性意識状態(ASC)の経験もあったので、頭で考えるだけの方法論(知識学習、資格取得など)では、付け焼き刃にすぎなく、能力・創造力や人生を、根本的な深いレベルでは変えられない、飛躍を起こせないということもわかっていました(実利的な知識だけの学習は、後からでも、充分、間に合うものでした。優先順位の後に来ると考えました)。

まずは、能力や創造力を生み出す基盤である、自分の感覚や感情、意識や心(性格)に、直接的に介入(作用)し、その構造やプログラムを変えていくような心理学(心理療法)に近い方法こそが、抜本的な変化を起こせるものだろうと当たりをつけていたのでした。

内的な能力の開発や、それへの自信・確信こそが優先されたのです。それを、一秒でも早く(齢が少しでも若く)、可塑性の高いうちに手に入れ、心の基盤に変化を起こしたいと考えたのでした。


②心理学・心理療法に関して

さて、後に、ゲシュタルト療法を発見するわけですが、そもそも、心理学自体には、十代の頃から関心があり、フロイトらの精神分析や精神医学の書物などは、早くから読み漁っていました。自分の心に響くものがあったのでした。

大学の学部選択としても考えたことがありました。実際、大学の教授の中には、精神分析の対象関係論やメラニー・クラインについて、非常に深いレベルで語れる先生などもいて、そこでは、さまざまな恩恵を得ることにもなりました。しかし、その時、すでに感じていたのは、解釈を主とする心理学というものは、心の実体に解離した言葉をつむぐだけであり、解離を深めこそすれ、心に触れたり、心を変えたりすること自体には、ほとんど役に立たないということでした。理論のお話は、物語でしかなかったのでした。心を変えるには、もっと直接的に、心(心身)に作用するような、実践的(実在的)な方法論が必要だと理解されたのでした。


③体験的心理療法周辺の探索

さて、そのような行き詰まりと焦燥感の中で、能力を拡張する実効的な心理学として、さまざまな体験的心理療法の周辺を探索することになったのでした。また、NLP(神経言語プログラミング)やコーチングなども発見していくことになったのでした。

そして、そのうちに、さまざまな実体験を通して、その方法論的世界(業界)の、色々な実態が、マップ(地図)のようにわかって来ることになりました。見取り図→「ゲシュタルト療法 背景/文脈」

体験的心理療法の中には、たしかにブリージング・セラピーのように、非常に強力に心身に作用し、強度な変性意識状態(ASC)をつくり出すことで、プログラミングを書き換えるものがあります。たしかに、その体験は、筆者の人生を、一変させました。→拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』参照

しかし、その効果を、仕事(日常生活)での能力や創造性として、実際的にどう活用するかというと、それは縁遠いものでした。効果の領域が深すぎた(基盤的すぎた)のでした。

また、コーチングやNLP(神経言語プログラミング)は、体験的心理療法に較べると、心のプログラミング変更を起こす点では、威力の弱いもの(浅すぎたの)でした。その場でその気になるだけといった物足りないものでした。筆者が欲していたのは、能力を拡張するために、心理プログラミングを真に恒久的に書き換える方法論だったのです。

つまり、どのような方法論も、筆者が当時、欲していたような、現実的に効果を出し、能力・創造力を拡張するための変化の技法としては、充分ではなかったのでした。もっと適切なバランスや 強度をもった方法論が、求められたのでした。


④人生を加速・拡張する方法論としてのゲシュタルト療法

そのような試行錯誤の中で、「ゲシュタルト療法」に、出会うことになったのでした。ゲシュタルト療法も、心理療法の世界では、有名な(古典的な)ものなので、名前だけなら非常に早い時期から知っていました。しかし、何を行なうかは、それとなく分かっていても、いまひとつ「効果のイメージ」がつかなかったため、後回しにしていたのでした(効果がないと思っていたのでした)。

しかし、機会があって、それを体験した時に、(予想とは大きく違って)これこそが、自分が探していた方法論に、最も近いのではないかと感じられたのでした。ここに、人生を変える鍵があるのではないかと直観したのでした。

それくらい、その場で分かる、速効的な効果があったのでした。自分のプログラムが、書き換わる変化を、その場で体感できたのでした。また、その軽微な変性意識状態についても、強い感銘を受けたのでした。変性意識のせいで、普段は、気づけないようなことに、気づけたり、普段は決して(恥ずかしくて)、表現しないようなことを表現現することができたのでした。

そして、それは実際、結果的に、当時、筆者が感じていた人生の行き詰まり、能力や創造力、意識や感情、心の限界に対する〈突破口〉となっていったのでした。いざ集中して取り組んでみると、それは、「まるで魔法のように」効果を発揮し、自己の能力を根本的なレベルで拡張する方法論だとわかりました。また、期せずして出てきた、心の深い部分の悩みやトラウマを癒すことにもなったのでした。

最初の一年の取り組みが終わった時、自分で振り返り、「能力前年比300%」と評価し、ノートに記しました。そのくらいに、爆発的な変化があったわけでした。また、前段で書いた、社会の環境変化に左右されずに価値を持つ、普遍的なスキル・能力という側面についても、ゲシュタルト療法はそのような人間の基底的な能力・創造性を、深く解放、覚醒させ、利用可能なものにする方法論であることがわかったのでした。

(変性意識状態を経由して)心の底から、潜在能力を引き出す技法やセッション形式を、具体的に持っていたからでした。そして、その結果として、自分の思考力、想像力、感情の自由、統合力、集中力、心身エネルギーのすべてが、バージョンアップしたことがわかったのでした。

また、予想外のことに、変性意識状態(ASC)の関係で、トランスパーソナル(超個的)な体験領域も開くこともわかったのでした。つまり、ゲシュタルト療法の、表現を主とした気づきの手法は、単に治癒的な心理療法というだけでなく、より普遍的な能力開発技法、創造力開発技法としても、応用可能な本質を持っていたのでした(また実際、後に、人類学などとのさまざまな類縁性にも、気づくことにもなったのです)。

そのため、このゲシュタルト療法に、意図的に習熟することは、あらゆる仕事を行なう中でも役立つだろう、自分の地力としての才能や創造力を、高めるのに役立つだろうと確信できたのでした。そして、実際、そのようなことになったのでした。

ところで、筆者自身は、ゲシュタルト療法以外にも、さまざまな体験的心理療法、プロセスワーク、NLP(神経言語プログラミング)、コーチング、シャーマニズム、野生の気づきの技法(訓練)、各種の瞑想技法など、多岐に渡る方法論を学びました。また、その他にも、多様で深遠な変性意識状態(ASC)を数多く体験、遍歴してきました(その後のゲシュタルト・アプローチで、心身が流動化したせいもありました)。その内容や「行きて帰りし旅」については、拙著『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』にも記しました。

しかし、最終的なレベルで、普通の日常生活にフォーカスし、そこで創造的な成果(アウトプット)を出していくという現実的、着実な効果の観点(操作性)からすると、ゲシュタルト・アプローチは、クライアントの方に習得(獲得)していただく方法論(の基礎)としては、最適な性格を持っていると考えられたのでした。

また、心の流動性と解放を高めるシンプルな原理のゆえに、広大な意識拡張(変性意識)の方法論としても、使用いただける点も魅力的な(重要な)ポイントであったのでした(流れる虹のマインドフルネスを生む要素です)。

つまりは、そのように、ゲシュタルト・アプローチは、クライアントの方のニーズに合わせて、対応できる自由度や方向性・焦点化が、きわめて幅広く、かつ深いものであったのでした。

以上見てきたような、紆余曲折を経て、このような結果として、最終的に「人生のマスター・キー」としてのゲシュタルト・アプローチを、「フリーゲシュタルト」として、自分の主たる方法論としてすえることにしたのでした。また、クライアントの方にご提供することにしたのでした。

さて、では、ゲシュタルト的なアプローチは、世の中の他の方法論と較べて、どのような点で、自由で、効果的であるのかを挙げてみたいと思います。


(1)変化作用(強弱・深浅)のバランスのよさ

ゲシュタルト的アプローチは、通常のコーチングやカウンセリングと較べると、「格段に深く」心理的変化を起こし、また、プログラミング修正できる方法論です。しかし、同時に、その変化の度合いを、クライアントの方がご自分で調節できるものです。「やりたいことのみをやる」ことで、強弱を、調節していけるのです。無理のない安全な範囲で、確実に変化をつくり出すことができる方法論となっているのです。


(2)変化の進捗をコントロールできる

また、そのように個々の変化の量を調節できるため、長い期間に渡って取り組む場合でも、自分が変化していく量を、自分でコントロールできるのです。あまり急がずに、できる範囲内で、変化を定着させながら、プロセスを進めていけるのです。その継続的な変化の推移を管理していけるのです。


(3)自分で「体験の意味」を決められる

多くの心理療法他は、セッションで、クライアントの方が体験した内容を、教科書に合わせて、解釈しがちとなります。これが、しばしば、退屈で、抑制的なものになることもあります。

しかし、ゲシュタルト的アプローチでは、クライアントの方自身が、ご自分で、自己の体験の意味を、納得的に決めていけることになります。そのことで、ご自分の進化の里程標を、ご自身で、創造的かつ統合的に区切っていけることになるのです。

例えば、筆者自身も、クライアントの時代、多様な変性意識状態(ASC)の体験を、すでに持っていたので、(ゲシュタルト療法の教科書とは関係ないところで)その関連で、自己のセッション体験を自分でさまざまに意味づけ、再構成していきました。そのことで、自分の中に統合感を生むことができたのでした。


(4)ケンタウロスの領域としてのバランスのよさ

別に「ゲシュタルト療法 背景/歴史的文脈」で触れましたが、ゲシュタルト療法は、心身一元論的なアプローチなので心とからだを、総合的にあつかっていくことができるのです。このことが、パワフルでエネルギーに溢れた統合状態をつくり出すことに、最適なバランスを持つことになるのです。


(5)日常生活や仕事に、直接的に役立つ

ゲシュタルト的アプローチは、知覚力、集中力、想像力、思考力、心身の感度の向上、他者とのコミュニケーション能力等、人間の基盤的な能力を高めます。そのため、実利的な仕事を行なう上での基礎力全般(パフォーマンス)が高まることになるのです。また、その一方で、さまざまな生活上の課題に対して、的確にテーマを絞って、そこに解決のヒントを得ることができるのです。その意味での、大変、実利的な効果を持っているのです。

また、セッション(ワーク)に習熟するに従い、変性意識状態(ASC)にコンタクトできるスキルも上がっていきます。これは、創造力開発に、決定的に役立つ要素となるのです。

潜在能力を引き出すコツがつかめて来るからです。当スペースが〈流れる虹のマインドフルネス〉として、この部分(変性意識と創造性)を強調している理由でもあります。このような特性を持っているがゆえに、変化の方法論としては、最適なものとなっているわけなのです。特に現代社会のように、技術的・経済的・メディア的に環境変化や変動が多い時代に、自分の中から、ぶれない創造力を引き出す、明確なスキルを持っていることは、とても重要ようなことと思われるのです。

現代では多くの人が、現れてくる技術的進歩や機器、メディアに右往左往して、
周りに流されている状況です。そのようなことでは、自分の中から、真の創造力を引き出すことなどできないのです。そのような環境の中で「自分の中心」や「自分の場所」を持っていることは、とても重要のことと思われるのです。

このような、ゲシュタルト・アプローチの在り方を、筆者は、よく、登山のベースキャンプに喩えています。ベースキャンプは、日常的な生活の場よりも、高い場所にあり、かつ、山頂を狙える場所にあります。ゲシュタルト・スキルを、身につけることは、自分の心身の中に、このようなベースキャンプをつくることになります。

人生の中で、そのようなベースキャンプ(基地)を持っておくことは、人生に新たな中心(センター)の感覚をもたらします。日々の生活で、創造性の高いアヴェレージ(平均点)を保っていられるのです。日常的な雑事を離れて、自分の中心(センター)にいつでも触れられる居場所が確保できるからです。そして、その気になった際は、いつでも、冒険的なピーク(山頂)に行くことで、自分の限界を超え、新たな成長を、獲得することができるからです。

さて、以上、筆者自身が、ゲシュタルト的アプローチ(ゲシュタルト療法)をどのように発見し、その効果の特性を見出し、「フリーゲシュタルト」として、現在の主たる方法論にすえたのかの由来となります。

ぜひ、ゲシュタルト・アプローチを利用して、ご自身の大きな変化・変容を経験していただければと思います。

 

【ブックガイド】
ゲシュタルト療法については基礎から実践までをまとめた拙著
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
をご覧下さい。
気づきや統合、変性意識状態(ASC)へのより総合的な方法論は拙著↓
入門ガイド
『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』
および、よりディープな、
『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』
をご覧下さい。

↓動画「ゲシュタルト療法と生きる力の増大」

↓動画解説『ゲシュタルト療法ガイドブック:自由と創造のための変容技法』

→『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』

↓気づきと変性意識の入門ガイドはコチラ。動画解説「気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス」

→『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』

↓多様な変性意識状態についてはコチラ。動画解説 拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』」 変性意識 ゲシュタルト療法

→『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』