なぜ、ゲシュタルトなのか ゲシュタルト療法を技法として選択した理由

 さて、クライアントの方に、(世界ではスタンダードなのに)日本ではまだまだマイナーなゲシュタルト療法を、私自身がどのように発見し、なぜメインの方法論にしたのかと聞かれることがあります。数ある方法論の中から、ゲシュタルト療法を選んだ理由といきさつです。
 そのような時、そこに至った経緯をいろいろとお話をするのですが、その話が、ゲシュタルト療法の特質をクライアントの方に理解いただく参考になるということがわかりましたので、ここでは、私自身が「どのようにゲシュタルト療法を発見したのか」「どこにメリットを感じたのか」また「自分の変容を起こすことになったのか」を少し書いてみたいと思います。


【内容の目次】

  1. 人生の変化/変容(突破口)を求めて
  2. 心理学・心理療法に関して
  3. 体験的心理療法―その周辺の探索とマップ(地図)
  4. 人生の基盤を拡張する方法論としてのゲシュタルト療法
  5. 「実際的・実効的」な方法論としてのゲシュタルト療法
    (1)変容作用(強弱・深浅)のバランスのよさ
    (2)変化の進捗をコントロールできる
    (3)決めつけの解釈がない。自分で「体験の意味」を決められる
    (4)心身一元論的セラピーとしてのバランスのよさ
    (5)日常生活や仕事に、直接的に役立つ
    (6)知覚や意識のわかりやすい変容体験

①人生の変化/変容(突破口)を求めて

 さて、ゲシュタルト療法との出会いは、その昔、自分の能力や創造力に限界を感じて、それらを開発する効果的で明確な方法論がないかと、体験的心理療法の手法を色々と探している最中に起こりました。
 その当時、仕事面においても、ライフワーク面(創造的活動)においても、自分の能力・創造力に大きな行き詰まりを感じて、突破口を探している時期でした。会社の配置転換なども不本意で、仕事では日々人生の時間を無駄にしていると焦っている状況でした。このまま毎日、同じようなことをしていても人生に変化がない、突破口がないと感じていたのでした。
 ただ、他人や環境を当てにしていては、状況を打破できないこともわかっていました。自分で状況をなんとかするしかなかったのです。そのためにも自分の能力や創造力自体を、もう一段ブレイクスルー(飛躍)させる必要をどこかで感じていたのでした。
 また、当時は、時代の変化の時期、インターネットが急速にひろまっていく時期でもありました。社会インフラとしてのネット普及が起こり、人々のコミュニケーションの形態が変わりはじめてもいました。
 そんな中で、それまで従事していた既存の業界や事業、既存のスキルが、みな急速に陳腐化し、無価値になることも予想されました。自分が苦労して得たわずかばかりのスキルでさえ、未来の世の中ではもうなんの役にも立たなくなる。本来寄りどころとなるべき自分のスキルでさえ藻屑のように消えてしまうということが予想されたのでした。
 そのような暗い閉塞感を見通した中で、色々と考えたのでした。このさきもやってくる技術の進歩や社会環境の変化に左右されずに、人間に普遍的な価値を持つ、原理的なスキル・能力とは何だろうか? そういうものを得られないかと考えたのでした。先の見えない行き詰った状況の中で、強い焦燥感に駆られていたのでした。

 また一方で、わずかですが、体験的心理療法の経験や変性意識状態(ASC)の体験もあったので、頭で考えるだけの方法論(知識学習、資格取得など)では、本当に人生を変える方法論にはならないということもわかっていました。それらは自分の能力や創造力を根本的なレベルで開発するものではないので、本質的な飛躍を起こせないということもわかっていました。また、実利的な資格取得や知識学習は、後からでも間に合うものだったので、優先順位の後にくると考えられたのでした。何よりもさきに行なわなければならないのは、実際的な能力・創造力といった人間としての底力を開発し獲得することだったのです。

 そのため、考えたのは、能力や創造力を生み出す基盤である自分の心(感情や感覚、意識や性格)に直接的に作用し、その構造やプログラムを変える方法論でした。そのような心理学(心理療法)に近い方法こそが、自分に抜本的な変化を起こし、現状を打破できるものだろうと考えたのでした。(当時は今よりもトランスパーソナル心理学などに関する書物も多く、ヒントも多かったのでした)
 つまりは内的な変化、能力の開発や自信・確信の獲得こそが優先されたのでした。それを一秒でも早く、(年齢が少しでも若く)心の可塑性の高いうちに手に入れて、心の基盤づくりにしたいと考えたのでした。

②心理学・心理療法に関して

 ところで、後にゲシュタルト療法を発見するわけですが、そもそも心理学自体には十代の頃から関心があり、フロイトらの精神分析や精神医学の書物などは早くから読み漁っていました。自分の心を探索するヒントがあったのでしょう。大学の学部選択としても一時考えたこともありました。実際、後の大学の講義などでは、精神分析の対象関係論やメラニー・クラインについて、非常に深いレベルで語れる教授などもいて、そこではさまざまな恩恵を得ることにもなりました。
 しかし、その時にも、すでに感じとっていたのは、「解釈」を主とする心理学というものは、心の実体にあまり影響を与えられないということでした。解釈的な言語は(なるほど何かをわかったつもりにはなりますが、その実)、心の実体に対して解離した言葉(抽象)をつむぐだけであり、解離(分裂)を深めこそすれ、心に直接触れたり、心自体を変えることには役に立たないということでした。理論のお話は、実体(実在)ではなく、あくまで代替物(抽象)でしかなかったのでした。心を変えるには、もっと直接的に心に作用するような実践的(介入的・実在的)な方法論が必要だと思われたのでした。

③体験的心理療法―その周辺の探索とマップ(地図)

 そのような経緯もあり、より実効的な心理学としてさまざまな体験的心理療法の周辺を探索することになったのでした。そして、実際の体験を通じて、その方法論の世界(諸流派)の実態が、マップ(地図)のようにわかってくることになったのでした。そのあたりは下記ページでも触れているのでご参考下さい。
「ゲシュタルト療法 背景/文脈」

 ところで、体験的心理療法の中には、たしかにブリージング(呼吸)・セラピーのように非常に強力に心身に作用し、強度な変性意識状態(ASC)をつくり出すことで、人間の深層プログラミングを書き換えてしまうものがあります。たしかにその体験は、私の人生を一変させました。
→拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』参照

 しかし、その変容効果を、普段の仕事(日常生活)での能力として、実際的にどう活用するかというと、それは日常的な「自我の領域」と少し距離があるものでした。つまり、効果の働く領域が深層的すぎるため、日常的な自我の領域で、すぐに実用的なイマジネーションや自我の能動性に結びつくというものではないのでした(当然、心理的な癒しや解放感は巨大なものなのですが)。

 また、コーチングNLP(神経言語プログラミング)は、体験的心理療法に較べると、心のプログラミング変更を起こす点では威力の弱いものでした。その場ではなんとなくその気にはなるのですが、心のプログラミングを書き換えるような深さ(仕組み)は持っていませんでした。私が欲していたのは、自己の限界を打破し、能力を拡張するために心理プログラミングを恒久的に書き換える方法論だったのです。

 つまり、どのような方法論も、私が当時欲していたように心の限界を掘り出し、改善し、能力・創造力を発掘するための技法としては不十分だったのでした。もっと適切なバランスをもった方法論が求められたのでした。

④人生の基盤を拡張する方法論としてのゲシュタルト療法

 そのような暗中模索・試行錯誤の中で、「ゲシュタルト療法」に出会ったのでした。ゲシュタルト療法も、心理療法の世界では有名な(古典的な)ものなので、名前や外観のイメージだけなら非常に早い時期から知っていました。しかし、何を行なうかはそれとなくわかっていても、いまひとつ「効果のイメージ」がつかなかったため後回しにしていたのでした(そんなロープレめいたことをやってもあまり効果がないと思っていたのでした)。

 しかし、機会があってそれを体験した時に、(予想とは大きく違って)これこそが自分が探していた方法論に最も近いのではないかと感じられたのでした。ここに、人生を変える鍵があるのではないかと直観したのでした。

 そのくらい、ゲシュタルト療法はその場で分かる速効的で爆発的な効果があったのでした。自分のプログラムが書き換わる変化をその場で意識的に体感できたのでした。また、(ゲシュタルト療法の中ではその状態を説明する理論を持っていませんが)その軽微な変性意識状態(ASC)に入る様にも強い感銘を受けたのでした。変性意識のせいで、普段は気づけないような深いことに気づけたり、普段は決して(恥ずかしくて)表現できないような新しい表現を開発することもできたのでした。その魔法のような意識拡張にインパクトを受けたのでした。

 そして、それは実際結果的に、当時私が感じていた人生の諸々の行き詰まり―能力や創造力、意識や感情、心の限界―に対する〈突破口〉となっていったのでした。いざ集中して取り組んでみると、それはまるで「奇蹟のような」効果を発揮し、自己の能力を根本的なレベルで解放する方法論だとわかりました。また、期せずして出てきた心の深い部分の悩みやトラウマ、人生自体に感じていた苦痛(生きづらさ)を癒すことにもなったのでした。

 最初の一年の取り組みが終わった時、自分で振り返って「能力前年比300%」と評価し、ノートに記しました。そのくらいに爆発的な変化があったわけなのでした。また、前段で書いた、社会の環境変化に左右されずに価値を持つ普遍的なスキル・能力という側面についても、ゲシュタルト療法はそのような人間の基盤的な能力・創造性を、深く覚醒させ、利用可能なものにする方法論であることが確認されたのでした。
 (変性意識状態を経由して)心の深い底から潜在能力を引き出す技法やセッションを具体的に持っていたからでした。そして、その結果として、自分の思考力、想像力、感情の自由、統合力、集中力、心身エネルギーのすべてが解放され、バージョンアップしたことがわかったのでした。目覚ましい自己刷新が起こったのでした。

 結局、最初にゲシュタルト療法を学んだ団体(旧東京ゲシュタルト研究所)では、週1回行なう継続クラスに4年間通い(4年間毎週!)、別に月2日のトレーニング・コースは2年間履修することになりました(それにはさらに別の単発のワークショップを200時間受ける条件がありました)。それくらい熱中して入れ込んだわけです。
 その後も別団体でトレーニング・コースをさらに2年間履修したり、さまざまな団体や来日講師のワークショップに参加することを繰り返し、飽かずに探求をつづけたのでした。
(後年わかったことは、ゲシュタルト関係者の中でも、私のように集中的で膨大な時間をゲシュタルト療法に投入したという人は少なく、その点が、私のゲシュタルト体験や理解を深いものにしているという点でした。また複数の団体、多数のファシリテーターから学んだ結果、多様多彩なゲシュタルト療法のタイプを経験できたことも幸いしました。その中で、古典的なゲシュタルト療法の限界もよく理解できて、その欠点を克服した「進化型のゲシュタルト療法」を組み立てることができたからでした。その点が、複数のゲシュタルト療法(ファシリテーター)を経験しているクライアントの方々に、私のゲシュタルト療法が「深い」「変容を起す」といわれる理由にもなっていると思われるのです。ですので、ぜひ、実際に体験してみて、他のファシリテーターの方のセッションと、私のセッションの違いを実感してみていただければと思います。また、純粋にゲシュタルト療法が知りたいという場合も、なるべく数多くのファシリテーターを体験することをお勧めします。ゲシュタルト療法は、そのファシリテーターによって内容がまったく違うものになるからです。「普通のゲシュタルト療法」というものは存在しないからです)

 そしてさらに、そんな取り組みを通して(まったく予想外のことでしたが)、変性意識状態(ASC)の作用でトランスパーソナル(超個的)な体験領域も開くこともわかったのでした。これは、古典的・教科書的なゲシュタルト療法にはない事態でした。しかし、ともに学ぶ仲間や先輩たちの身の上にも多く生じていたことでしたし、トランスパーソナル心理学のケン・ウィルバーなども気づいていたことでありました。つまり、ゲシュタルト療法の心身一元論的な統合を深めていく姿勢は、最終的に、心身一元論的な状態をさらに超える超越的な領域(トランスパーソナルな本質)につながる要素も持っていたのでした。

 そのため、このゲシュタルト療法の習熟を意図的に深めることは、心の不屈の基盤づくりに役立ち、さらに自分の地力としての才能や創造力を高める能力開発としてとても役立ったのでした。


⑤「実際的・実効的」な方法論としてのゲシュタルト療法

 ところで、私自身は、ゲシュタルト療法以外にもさまざまな体験的心理療法、プロセスワーク(プロセス指向心理学)、NLP(神経言語プログラミング)コーチングシャーマニズム、野生の気づきの技法(訓練)、各種の瞑想技法など多岐に渡る方法論を数多く学びました。(特に、プロセスワークは10年以上に渡って、先生や仲間たちからさまざまな事柄を学びました。来日時のミンデル博士とデモンストレーションしたことも楽しい思い出です)
 それに加えて、他にも多様で深遠な変性意識状態(ASC)を数多く実体験、遍歴してきました(拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法』参照)。

 しかし、人々に(他人に)、実効性の高い方法論としてお勧めする技法としては「(進化型の)ゲシュタルト療法」を選んだのでした。
 それは何故かというと、端的に「一番効く(効果的)」からでした。普通の日常生活にフォーカスし、そこで創造的な成果(アウトプット)を出していくという現実的な効果の観点(操作性)からすると、クライアントの方に変容を起し、習得(獲得)してもらう方法論としては、ゲシュタルト療法は最終的なレベルで、最強(最適)の方法論だと考えられたからでした。

 ゲシュタルト療法は、(クライアントの方のニーズに合わせて)対応できる自由度がきわめて幅広く、かつ深いものであったのでした。心の解放(流動性)と変容(統合)を進めるシンプルな原理(プロセス指向)や、意識拡張(変性意識)の方法論として、万能キーのように使えるモノだったのです。また、実践面での自由度も非常に高く、古典的・教科書なゲシュタルト療法理論を離れて、進化した他流派の理論にそって実践セッションを行なうこともできるのでした(たとえぱプロセスワーク風に)。そのため、すでに他流派で学習を深めた人にとっても、矛盾なく学んでいただけるものとなっていたのでした。

 さて、そのような紆余曲折を経て、最終的に「人生のマスター・キー」としてのゲシュタルト療法(ゲシュタルト的アプローチ)を「フリーゲシュタルト」として自分の方法論としてご提供することにいたったのでした。

 さて、では、ゲシュタルト療法(ゲシュタルト的アプローチ)は、世の中の他の方法論と較べて、どのような点で、自由で効果的であるのかをいくつか挙げてみたいと思います。

(1)変容作用(強弱・深浅)のバランスのよさ

 ゲシュタルト療法は、通常のコーチングやカウンセリングと較べると、「格段に深く」心理的変容を起こし、またプログラミング修正できる方法論です。しかし、同時にその変容の度合いを、クライアントの方がセッションの中でご自分で調節できるのです。「やりたいことだけをやる」「選んでやる」ことで、変容の強弱を調節していけるのです。無理のない安全な範囲で確実にすばやく変容をつくり出すことができる方法論となっているのです。

(2)変容の進捗をコントロールできる

 また、そのように個々の変容の量を調節できるため、長い期間に渡って取り組む場合でも、自分が変容していく量を自分でコントロールできるのです。あまり急がずに(また逆に急いで)、できる範囲内で着実に変容を定着させながら、プロセスを進めていけるのです。その継続的な変容の推移を管理していけるのです。変容の航海をコントロールしていけるのです。

(3)決めつけの解釈がない。自分で「体験の意味」を決められる

 多くの心理療法は、セッションで、クライアントの方が体験した内容を教科書に合わせて、解釈することととなります。「このことにはこういう意味がある」「あなたは○○である」等々です。これがしばしば、抑圧的なものになり、統合や変容を阻害することになりがちです。

 しかし、本当のゲシュタルト療法は、そのような一義的な解釈の有効性を信じません。クライアントの方自身が、ご自分で自己の体験の意味を納得的して決めることに意味(効果)があると考えているからです。そのことで、ご自分の進化の里程標をご自身で感じとり、統合的を進めることができるのです。

(4)心身一元論的セラピーとしてのバランスのよさ

 別に「ゲシュタルト療法 背景/歴史的文脈」で触れましたが、ゲシュタルト療法は、業界でも数少ない心身一元論的なセラピーなので、心とからだを総合的にあつかっていくことができます。このことが、パワフルでエネルギーに溢れた統合状態をつくり出すことに最適なバランスを持っているのです。肉体が物理的にエネルギーを高めることも、効果をわかりやすく楽しく実感できるポイントになっています。

(5)日常生活や仕事に、直接的に役立つ

 ゲシュタルト療法は、効果が心身一元論的で直接的なため、人間の積極性、能動性、自信、知覚力、集中力、想像力、思考力、心身の感度、他者とのコミュニケーション能力など、人間のもつ基盤的な能力をダイレクトを高める効果があります。そのため、日々の実際的な仕事を行なう上での基礎力全般(パフォーマンス)を高めることになるのです。さまざまな生活上の課題に対しても、的確にテーマを絞ってそこに解決をもたらす能力(問題解決力)が高まるのです。その意味で、生きる上でのとても実利的な効力を持っているといえるのです。

(6)知覚や意識のわかりやすい変容体験

フリッツ・パールズがすでに「小さなサトリ(悟り)」のような用語でも表現していたように、ゲシュタルト療法のセッションでは「鮮明な知覚拡大の体験」やアーハ体験があります。そして「風景の見え方が一変した」「物の色彩や輪郭がチカチカと鮮やかに見える」「意識が拡大した」「セッション中に不思議な映像が見える」「身体感覚が変わった」等々、数え上げられないくらい多様な感覚変容の体験があります。これは、普通の人生(日常生活)では決して体験しないものであり、セッションでのわかりやすい効果となっています。なぜ「このような現象が起こるのか」と知覚変容の原理を理解することで、自分の心理的統合や創造的なアウトプット方法に対してもわかりやすく理解が進むこととなっているのです。つまりは、感覚変容を応用利用できることとなっているのです。

 また、これは古典的・教科書的なゲシュタルト療法にはないことですが、進化型のゲシュタルト療法では、セッション(ワーク)に習熟するに従い、変性意識状態(ASC)にコンタクトできるスキルも上がっていきます。これは、人間の意識を拡大し、創造力を開発するのに決定的に役立つ要素となるのです。潜在能力を自在に引き出すコツがつかめてくるからです。当スペースが〈流れる虹のマインドフルネス〉として、この部分(変性意識と創造性)を強調しているのはそのためでもあります。

 以上のような特性を持っているがゆえに、ゲシュタルト療法は、変容の方法論としては、最適なものとなっているわけなのです。特に現代社会のように、技術的・経済的・メディア的に環境変化や変動が多い時代に、自分の中から普遍的な能力や創造力を引き出す明確なスキルを持っていることは、生きる上でとても重要なことと思われるのです。
 実際のところ、現代では多くの人が、次々現れてくる技術的進歩や機器、メディアに右往左往して、終始周りに流されているような状況です。そのようなことでは、自分の中から真の創造力を引き出すことなどできないのです。そのような環境の中でブレない「自分の中心」や「自分の場所」を持っていることは、とても重要のことと思われるのです。
 実際、私がゲシュタルト療法で出会う時期を、前段で「インターネットが急速にひろまっていく時期」としましたが、その時すでに私は「この先のネット社会では、人間が身体や実存から解離した空虚な存在になるだろう」ということを直観していました。そのこともゲシュタルト療法の有効性を感じさせ、選択させる要因でもあったのです。
 そして、あれから20年が経って、現状を見てみると、予想以上に人間は劣化した存在になってしまったわけです。
 かつてフリッツ・パールズは、「私の仕事は、紙でできた人間を血の通った人間にすることだ」と言いましたが、同様に私も、「私の仕事は、スマホとネットでできた人びとを血肉(心身、存在感)を持った人びとにすることである」と言わなければならない状況になってしまったわけです。しかし、ゲシュタルト療法にはその力があることも事実なのです。

 ところで、このようなゲシュタルト療法の在り方を、私はよく登山のベースキャンプに喩えています。ベースキャンプは、日常的な生活の場よりも高い場所にあり、同時にいつでも山頂を狙える場所にあります。ゲシュタルト療法のスキルを身につけることは、自分の存在の中にこのようなベースキャンプをつくることにもなります。

 人生の中でそのようなベースキャンプ(基地)を持っておくことは、人生に新たな中心(センター)の感覚をもたらします。日々の生活でいつも創造性の高いアヴェレージ(平均点)を保っていられるのです。日常的な雑事を離れて、自分の中心(センター)にいつでも触れられる居場所が確保できるからです。そして、その気になった際は、いつでも冒険的なピーク(山頂)に行くことで、自分の限界を超え、新たな成長を獲得することができるからです。

 さて以上が、私自身が、ゲシュタルト療法(ゲシュタルト的アプローチ)をどのように発見し、その効果の特性を見出し、「フリーゲシュタルト」として現在の主たる方法論にすえたのかの理由となります。

 ぜひ、ゲシュタルト療法変性意識状態(ASC)を利用して、ご自身の大きな変容と進化を体験していただければと思います。

 

【ブックガイド】
ゲシュタルト療法については基礎から実践までをまとめた拙著
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
をご覧下さい。
気づきや統合、変性意識状態(ASC)へのより総合的な方法論は拙著↓
入門ガイド
『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』
および、よりディープな、
『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』
をご覧下さい。

↓動画「ゲシュタルト療法と生きる力の増大」

↓動画解説『ゲシュタルト療法ガイドブック:自由と創造のための変容技法』

→『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』

↓気づきと変性意識の入門ガイドはコチラ。動画解説「気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス」

→『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』

↓多様な変性意識状態についてはコチラ。動画解説 拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』」 変性意識 ゲシュタルト療法

→『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』