ゲシュタルト療法では、心身一元的・全体論な人間理解というものを持っています。
そして、それをそのまま具体的なセラピーの技法として活かします。
これが実際、強力な介入技法であり、治癒や統合効果につながるものだからです。
そのため、ゲシュタルト療法では、セッション(ワーク)の中で、このようなクライアントの方の心身の不一致を敏感にとらえようとします。
そこに、介入の糸口があるからです。
そのため、セッション(ワーク)の中でも、クライアントの方の「話している内容(コンテンツ)」よりも「話している状態(プロセス)」に注目したりもします。
クライアントの方は、通常、自分の話の内容(コンテンツ)に同一化し夢中になっていますが、そんな時にこそ潜在意識や「他の自我状態」が、身体の表現を通して現れてくる(表現されてくる)からです。
「言葉と一致していない」表現にこそ大きなヒントがあるのです。
たとえば、実際のゲシュタルト療法のセッションでは、クライアントの方の「身振り手振り」や「身体の動き」をしばしばピックアップして指摘します。
「手を、こう動かしてますね」
「今、体が、揺れているのに気づいてますか」
「こんな風に、からだが動いてますね」
「その手の動きを、よく感じてみて下さい」
「その手の動きを、大きくするとどんな感じがしますか」
「その手の動きは、何と言っていますか」
「その体の揺れは、何を表現しているのでしょう」
「それに気づくとどんな感じがしますか」
そして、そこからプロセスを深化させていくのです。
夢がそうであるように、自然に現れてくるボディ・シグナル(からだの信号)や身体動作も、「他の自我状態」に至る王道だといえるのです。
ゲシュタルト療法では、この身体のチャンネルとそこに現われる多様な自我状態を重視し、クライアンの方がからだのメッセージを発見する有効な糸口として、身体表現に介入するさまざまな技法を発展させているのです。
【ブックガイド】
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『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
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