変性意識状態(ASC)とは何か


【内容の目次】

  1. はじめに 変性意識の活用  
  2. 「潜在意識」「無意識」という胡散臭さ
  3. 変性意識状態(ASC)と心理療法
  4. 変性意識状態(ASC)とはⅠ 入り方
  5. 変性意識状態(ASC)とはⅡ 意識のチューニング
  6. 変性意識状態(ASC)の治癒効果と超越的状態 
  7. 変性意識のもたらす変容と、人生で活かす方法
  8. 参考文献
  9. 関連記事動画

1.はじめに 変性意識の活用

人間が持つ広大な潜在能力の開発や、心理療法における心理プログラムの改善・治癒作用など、心の構造や能力を理解し活用するのに際して「変性意識状態(ASC)」というとても有効(便利)な概念があります。

変性意識状態 Altered states of consciousnessとは、1960年代末に、カリフォルニア大学の心理学者チャールズ・タート博士の編著により有名になった意識状態の定義ですが、この通常の合理的・論理的・理性的な「日常意識以外」のさまざまな意識状態を指した総称です。

日常意識以外のさまざまな意識状態――瞑想状態、催眠状態、トランス状態、夢、向精神性薬物(ドラッグ)によるサイケデリック(意識拡張)状態、神秘体験など――を指した言葉です。広くは、体外離脱体験(OBE)や俗に「ゾーン ZONE」としても知られるフロー体験 flow experience なども、これに含まれると考えてもよいでしょう。基本的には、それ自体では良いものでも悪いものでもない価値中立的な変異した意識状態です。

しかし、この変性意識状態(ASC)のあつかい方に慣れ、通常の日常意識と変性意識との間に、感覚的・情報的・意図的なつながりを持てるようになると、私たちの能力や世界というものは、ずっとひろがりを持った広大なものに変っていきます。
人生や世界がずっと深さと幅を持った、まばゆく豊かなものに変容していくのです。この人生に、ある意味、「本当の魔法」が存在することに気づくようにもなるのです。その能力を習得し、活用可能なものにすることで人生は一変していくことになるのです。
ここでは、そのような実践的な事柄について解説していきたいと思います。

ところで、かつてアメリカの哲学者ウィリアム・ジェイムズは、その著作『宗教的体験の諸相』のよく引かれる文章の中で、以下のように記しました。

「…それは、私たちが合理的意識と呼んでいる意識、つまり私たちの正常な、目ざめている時の意識というものは、意識の一特殊型にすぎないのであって、この意識のまわりをぐるっととりまき、きわめて薄い膜でそれと隔てられて、それとまったく違った潜在的ないろいろな形態の意識がある、という結論である。私たちはこのような形態の意識が存在することに気づかずに生涯を送ることもあろう。しかし必要な刺激を与えると、一瞬にしてそういう形態の意識がまったく完全な姿で現れてくる。それは恐らくはどこかに、その適用と適応の場をもつ明確な型の心的状態なのである。この普通とは別の形の意識を、まったく無視するような宇宙全体の説明は、終局的なものではありえない。問題は、そのような意識形態をどうして観察するかである。―というのは、それは正常意識とは全然つながりがないからである。(中略)いずれにしても、そのような意識形態は私たちの実在観が性急に結論を出すことを禁ずるのである」(桝田啓三郎訳『宗教的体験の諸相』岩波書店)


さまざまな心の研究とともに、彼自身の変性意識体験より導かれた結論ですが、私たちの知る世界と変性意識状態について考える際にひとつの参考となる観点です。

以下では、この変性意識状態(ASC)がどのような特徴や構造を持つものなのか、また、どのような面で私たちの生活の役に立つのかについてまず見ていきたいみたいと思います。

2.「潜在意識」「無意識」という胡散臭さ

まず、変性意識状態(ASC)は、私たちの「潜在意識」や「無意識」と呼ばれるものを、実際に探求・体験するに際して有効な働きを持ちます。

ところでどうでしょうか.? よく世間でいわれるように、人間は「潜在意識(無意識)」がとても大切だ、重要だと聞いても、どこか怪しく、胡散臭い感じがするのではないでしょうか? 
「言われれば、そういう気もするけど…」と思うものの、実際本当にそうなのか、感覚的にピンとこないのではないでしょうか? また、確証のとれない事柄について、話をつくって語られているように感じられたりしないでしょうか? というも、「潜在意識」と呼ばれているものの中身が、感覚的によくつかめない、よくわからないというところがあるからです。
これは、正しい反応だといえます。
そして実際のところ、潜在意識(無意識)の大切さについて、「理論的な話」を聞くだけではあまり意味が無いことでもあるからです。

つまり、「潜在意識(無意識)」の大切さは、自分の「感覚として」実際にそれらを体感・実感したり、その感覚とつながることではじめて意味が出てくるものでもあるからです。

さて実は、変性意識状態(ASC)は、そのような「潜在意識(無意識)」と、この日常意識をつなぐ領域(媒介領域/状態)として、私たちにとってとても価値があるものであるといえるのです。
つまり、変性意識状態(ASC)は、私たちに広大な潜在意識との意識面でのつながりをもたらし、実感的・実践的な理解をもたらすものであるというわけなのです。
そして、その状態に習熟することにより、潜在意識と深く交わり、そこから能力を引き出したり、操作する方法を得ていくことにもなるというわけなのです。

これが、私たちにとって、変性意識状態(ASC)がとても重要な価値を持つ面といえるのです。
(おおざっぱに表現すると、変性意識状態とは、日常意識と潜在意識とが部分的に融合した状態ともいえます)

3.変性意識状態(ASC)と心理療法

まずは、身近で「実利」を得られるところにある、心理療法(心理学)における変性意識状態(ASC)の効果や有効性について見ていきたいと思います。

さて、「心理療法」とは、心の悩みや苦しみなどを「癒す」ことが目的です。
もう少し丁寧に表現すると、「不調和を起している心(心理)のプログラム」をプログラム修正(再プログラミング)することを目的としたものです。
そして、この再プログラミングをするに際して、程度の大小はありますが、日常意識ではない、この「潜在意識」「無意識」にアクセスすることが重要となるのです。

というのも、私たちのこの「私というもの=自意識=日常意識」そのものは、既存の深層プログラムによって成り立ち、映し出されている表象感覚(表象機能)であり、その日常意識(自意識)からでは、当然ながら、自分自身を作り出している基盤プログラムを書き換えることはできないからです。
ここに、私たちのこの「私」にまつわる「逆説的な事態」があるのです。
実例を挙げると、例えば、感情的な問題について、頭でアレコレ考えていても(一時的に気を紛らわすことはできても)、それ自体は決して解決しない(無くならない)ことを思い出してみても、それは理解できるかと思います。

つまり重要なのは、この日常意識(私=自意識)ではない、別の経路から(日常意識を迂回した道を通って)、自分を作っり出している基盤システムに介入して、プログラム修正することが必要となるわけなのです。
とても、「私」がなんとかしないといけないので、とても「逆説的な事態」だとお分かりいただけるかと思います。
そしてその際に、この変性意識状態(ASC)という状態がとても有効に利用できるというわけなのです。

この「心の構造」は、催眠療法などをイメージすると分かりやすいかと思われます。催眠療法の考え方というものは、クライアントの方の日常意識に働きかけるのではなく、その意識面を回避(迂回)して、潜在意識(無意識)に直接働きかけることで、クライアントの方の心のプログラムを修正しようとする方法論だからです。
しかし、それもそんなに簡単なことではないのです。催眠療法がそんなに効果を上げる方法論でもないことを見ても、その実情がよくわかるかと思います。

また、心理療法の見方でいうと、通常、心の問題で悩まれている方は、日常意識の自意識に過度にとらわれているものです。自分の苦痛や自意識が絶対的なものに感じられて、そこに囚われてしまっているわけです。そして、苦痛にみちた感情や自意識を、日常生活の中で反復することで固定化(硬化)した悪いループにはまっているです。そのため罠にかかったように、身動きができなくなってしまっているわけです。
しかし、実はその「私=自意識」は結果の表象感覚でしかなく、それを生み出している原因ではないのです。

ところが、変性意識状態(ASC)に入ると、日常意識(私=自意識)がゆるみ、自分の苦痛や自意識が相対化されて、アプローチ可能なものに感じられてきます。苦痛が減じて、自分の強い感情や自意識があつかいやすいものに変化するのです。そのため、より楽な気持ちで、自分の深い心にアプローチできるようになるのです。

セッションにおいては、これが一番効果を発揮する面といえるかもしれません。その結果、よりスムーズに心の深層に触れて、心理的な治癒と変容を進めていくことができるようになるのです。

さて、ところで、変性意識状態(ASC)ですが、実際のところ、私たちは、この変性意識状態そのものには、とても簡単に入れるものなのです。
しかしながら、変性意識状態をつくり、自分たちの望むような形で、心のプログラムを改修(変更)することはなかなか簡単には行なえないのが実情です。
というのも、それは人間生体の運営上、セキュリティの問題(危険)がありますので、セキュリティ・システムがきっちり設けられているからです。私たちは自分の心でさえ、簡単(勝手)にはプログラム修正ができないというわけなのです。それはそれでセキュリティ上、良いことなのです。
そのため、適切なプログラム修正を行なうには、セキュリティ・システムをかいくぐるスキルや心理システムに対する理解も必要となってくるのです。
セッションの中で、変性意識状態に移行するゲシュタルト療法(体験的心理療法)は、そのようなスキルや理解を深く的確なものにしてくれるのです

4.変性意識状態(ASC)とはⅠ 入り方

さて、変性意識にはさまざまな状態があります。しかし、変性意識単体では、なんら特別なものではないともいえます。というのも、変性意識状態というものは、私たちの日常意識との関係(対比/組み合わせ)の中で、初めてその特異な位置づけや能力を持ちはじめるものであるからです。たとえば、ドラッグをやって偶然的に深い変性意識状態に入っても、その体験単体では、すぐに「恒常的な創造力」には結びつかないということです。

ところで、変性意識状態(ASC)といってもさまざまなタイプがあります。日常意識からの距離によって、軽いものから極端なものまで多様なスペクトルや帯域をもっています。
実際、日常生活の中でも、私たちの意識は、ふと緩んだ時に軽度な変性意識状態に入っていきます。ちょっとボーとしている時。何かに没頭している時。何かに集中している時。さまざまな機会に、私たちはスルリと変性意識の状態に移行してしまっているのです。

また、人間関係(関係性 relationship)の中では、人は、容易に無意識の力に惹きこまれて、軽度な変性意識状態に移行します。恋愛や性愛関係、家族関係、組織内における関係性など、集合的(集団的)な無意識が活性化しやすいところでは、人は憑依されるように、容易に変性意識状態に巻き込まれていきます。

「意識のフレーム(枠組み)」自体は、カメラのレンズやフレームのように無色透明なものなので、なめらかに変性意識状態に移行していて、自分が変性意識状態に入っていても、(没入してしまっていて)それと気づかない場合の方が多いのです。主観的には、ハッとして気づきを得るまで、私たちはほとんどその違い(差異)に気づけないのです。

しかし、そのような変性意識状態に移行する中で、(場合によって)無意識のうちに、私たちはより冴えた直観力と鋭敏性を働かせて、優れた創造力を発揮したりもしているのです。また、悪い場合は、犯罪をおかしたりもしているのです。
そのため、気づき awareness や意図性・意識性をもって、この変性意識状態(ASC)をさまざまにあつかえるようになるということが、とても重要なポイントになってくるというわけなのです。

ところで、意図的に変性意識状態(ASC)に入る方法としては、歴史的・伝統的には、各種の宗教における瞑想技法や儀式的なトランス状態、向精神薬物の使用などが昔から知られていました。
また同様に、現代の体験的心理療法においても、セッションの過程の深いリラックス感や、内的な感覚(感情)集中を通して、より自然な形で変性意識状態に入っていくことができます。
その変性意識状態の中で、日常意識(自意識)ではコンタクト(接触)できなかった
深層情報にアクセスして、そのプログラムを書き換えていくということも可能になってくるのです。
それというのも、変性意識状態(ASC)の中においては、日常意識(自意識)の時とは違った形で、潜在意識にある隠された情動や情報が溢れ出てきて、実際まじかに視ることも可能になってくるからです。
そして、その過流のただ中で、それらの微細な層に気づくこと awareness ができるようになるからです。
このような微細で多重意識的な状態の中で、(前述のようなセキュリティ・システムを抜けて
)心の精妙なプログラムにアクセスすることや変容のコントロールも可能となってくるというわけなのです。

いずれにせよ、
心の複雑な構造(特性/逆説)をよく理解し、意図的に変性意識状態(ASC)に入るとともに、その中で心を解放するスキルを得ることは、心の治癒や人間の潜在能力を開発するためにとても有効なこととなっているのです。

また逆にいうと、体験的心理療法のスキルに習熟することは、これらの能力、つまり変性意識状態(ASC)に入ることとその中で潜在能力の解放を高めていくことにもつながっていくのです。そして、この点こそが、近代的な心理療法と伝統的なシャーマニズムの原理的な類似性ともなっている点であり、当スペースの方法論となっている点でもあるのです。

5.変性意識状態(ASC)とはⅡ 意識のチューニング

また、変性意識状態(ASC)の中には、さきのジェイムズの文章にもあるような、私たちの日常意識から大きく逸脱した未知の不思議な意識状態の帯域もあります。
これら
のイメージは、喩えるとラジオのチューニング(同調)のようなものです。

通常、私たちのラジオ(日常意識)は、たとえば、NHK放送にチューニングが合っており、その番組放送を聞いており、それだけが現実(世界)だと思っています。
この喩えでは、NHK放送が日常意識であり、その放送番組が日常現実です。それが何かの拍子(もしくは方法論)で、ラジオのツマミが動かされて、別の放送局(変性意識状態)にチューニングが合い、別の放送番組(現実)が聞こえてきたりするというわけです。

人類学者カルロス・カスタネダの著作の中には「集合点」と呼ばれる、知覚情報を編成するポイント(結節点)が言及されています。集合点が動くと、私たちは、「日常的な私たち」自身であることを失い、その現実も溶解して、まったく別物に変化していくのです。カスタネダのいう集合点が、厳密に、何を意味しているのかは分かりませんが、比喩的にも、実践的にも、そのイメージは大変ヒントになるものです。

たとえば、宗教的な修行や体験的心理療法を強力に推し進めると、やはりまれに、そのように「集合点」 が動いたかのような強烈な変性意識状態、別種のリアリティ体験をすることがあります。
それは、私たちを、未知の体験領域-空間に投げ込むことになります(場合により、心身に混乱をきたすケースもあります)。アメリカにおいては、体験的心理療法や、薬物使用の、サイケデリック〔意識拡張〕研究も盛んなため、スタンフォード大学にいた精神科医のスタニスラフ・グロフ博士などは、そのようなさまざまな変性意識体験の事例、体験領域-空間をさまざまに研究報告しています。また、その状態をあつかうサポート・システムについても、記したり支援活動を行なっているのです。
(※実際のサイケデリック〔意識拡張〕体験とは何か
LSD研究の権威グロフ博士のLSD体験と時代背景インタビュー動画↓)
http://hive.ntticc.or.jp/contents/interview/grof

6.変性意識状態(ASC)の治癒効果と超越的状態

また、興味深いことのひとつは、このような変性意識状態自体が、ある種の深い統合(治癒)効果を持っているということです。
変性意識状態(ASC)が、人間の深層的なプロセスを活性化し、本来持っている深い潜在能力(治癒能力)や全体性(ホーリズム)を引き出し、人間の心身を不可逆的に変容・刷新してしまうという点なのです。

それはおそらく、変性意識状態(ASC)というものが、私たちが普段同一化(固着)している日常意識(自意識)レベルの心理システムを超えて、私たちをより深く高い階層の潜在意識や心身統合システム、個人的自我を超えた領域に、私たちをつなげるためであると考えられるのです。
これは歴史的には、晩年のA・マズローなどが「
自己実現」を超えた領域として構想した「自己超越とトランスパーソナル(超個人的)な領域へのつながるテーマとなっています。
これは、変性意識状態を入り口に、心身のより広大なシステム(全体性/ホールネス)に、私たちを導く興味深くかつ実践的なテーマでもあるのです。
また、これらは広大な内容であると同時に、多様かつ多面的な要素を持ちますので、各要素については下記のそれぞれをご参考いただければと思います。
【図解】心の構造モデルと変容のポイント 見取り図
フロー体験とは何か フロー状態 ゾーン ZONEとは
サイケデリック(意識拡張)体験とは何か 知覚の扉の彼方
変性意識の治癒効果
マズロー「至高体験 peak-experience」の効能と自己実現
ブリージング・セラピー(呼吸法)の事例
「聖霊」の階層、あるいはメタ・プログラマー ジョン・C・リリーの冒険から
映画『攻殻機動隊』ゴースト Ghost の変性意識
実際の変性意識体験の事例

現代日本社会では、正しく理解されていませんが、この変性意識状態(ASC)を、きちんとあつえるスキルを磨くことは、私たちの能力や創造力、人生にとって計り知れない益をもたらすものなのです。

7.変性意識のもたらす変容と、人生で活かす方法

さて、拙著『砂絵Ⅰ』の中にも、実際の体験事例を書きましたが、筆者自身、心の諸領域を探索する中で、さまざまな奇妙な変性意識状態(ASC)を体験してきました。
→拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』

そして、それらの経験を繰り返してわかったことは、変性意識状態(ASC)が、私たちにもたらす変容作用や治癒作用、意識拡張作用は、(場合によっては)たった一回の体験で、人生を一変させてしまう強力な能力を持っているという点でした。心身の基底的なプログラムが刷新し、書き換わってしまうわけです。

さきに触れた、S.グロフ博士は、強度な変性意識を体験した多くの人々の証言を集めた結果から、その世界の見え方の変容を「あたかも、白黒テレビからカラーテレビに変わるかのようだ」と表現しています。これは実際にそのようなものなのです。

また、数々のセッションを実施した経験から言えることですが、軽度のものでも、変性意識状態(ASC)は、私たちの奥底に確実に変容をもたらしてしまうものです。これら多くの観察を踏まえると、変性意識状態(ASC)というものは、気まぐれな不調和ということではなく、私たちの自然的本性が備えている「自律的・治癒的・創造的」な素晴らしい潜在能力であるともいえるのです。

そして、これも経験上言えることですが、一番重要な点でもあるのですが、変性意識状態(ASC)の活用ポイントは、変性意識状態(ASC)と普段の日常生活の間に、きちんとした「心理的な連携や統合、往還(行き帰り)の通路をつくっていく」という点なのです。

そうでないと、変性意識状態(ASC)は単なる奇妙な(面白い)エピソードということで、私たちに心理的な統合をもたらすことがないからです(逆に解離と分裂をもたらすこともあるからです)。私たちの人生を豊かにする、創造的パワーにはなっていかないのです。
そのため、拙著 『砂絵Ⅰ』の中では、日常生活と変性意識との行き帰り(往還)の方法を「行きて帰りし旅」という言葉で公式化しました。これが一番重要な点でもあるからです。
そのような、行き帰りと連携の取り組み(スキル)によってこそ、変性意識状態(ASC)の特異で強力な力を、日常生活と人生の中で価値ある創造的な能力に変えることができるのです。

そして、また、当スペースでは、変性意識状態(ASC)をあつかうスキルを、潜在能力を引き出し活用するためのスキルとして、実践面・方法論面でも重視し、多くの方々に体験してもらったり、深めてもらったりしているというわけなのです。
変性意識状態(ASC)の秘められた力を、ご自分でうまくあつかえたり活かせるようになるだけで、想像もつかなかったような形で、ご自身の人生を解放し、一変させることが可能になるからです。
そのことで、人々が自分自身で、自己の潜在意識や創造力を無尽蔵に引き出す、真の魔法、マスター・キーを手に入れることができると考えているからなのです。

 

8.参考文献

Charles T. Tart (ed.) ; Altered states of consciousness . John Wiley & Sons Inc
W・ジェイムズ『宗教的経験の諸相』桝田啓三郎訳 (岩波書店)
A・ハックスレー『知覚の扉・天国と地獄』今村光一訳 (河出書房新社)
S・グロフ『自己発見の冒険Ⅰ』菅靖彦他訳 (春秋社)
S・グロフ『脳を超えて』菅靖彦他訳 (春秋社)
S・グロフ他『深層からの回帰』菅靖彦他訳 (青土社)
T・リアリー他『チベット死者の書 サイケデリック・バージョン』菅靖彦訳(八幡書房)
J・C・リリー『意識(サイクロン)の中心』菅靖彦訳(平河出版社)
C・G・ユング他『黄金の華の秘密』湯浅泰雄訳 (人文書院)
R・D・レイン『経験の政治学』笠原嘉他訳 (みすず書房)
M.チクセントミハイ『フロー体験入門』大森弘監訳(世界思想社)
S・コトラー『超人の秘密:エクストリームスポーツとフロー体験』熊谷玲美訳(早川書房)
井筒俊彦『意識と本質』(岩波書店)
吉福伸逸『無意識の探険』(TBSブリタニカ)
吉福伸逸『トランスパーソナル・セラピー入門』(平河出版社)
菅靖彦『変性意識の舞台』(青土社)
津村喬『気功宇宙―遊泳マップ』(アニマ2001)
K・ウィルバー『意識のスペクトル』吉福伸逸他訳 (春秋社)
ロジャー・N・ウォルシュ『シャーマニズムの精神人類学』安藤治他訳(春秋社)
A・ミンデル『シャーマンズ・ボディ』藤見幸雄他訳 (コスモス・ライブラリー)
フレッド・アラン・ウルフ『聖なる量子力学9つの旅』小沢元彦訳 (徳間書店)
S・ラバージ『明晰夢』大林正博訳(春秋社)
ゲイリー・ドーア編『死を超えて生きるもの』井村宏治他訳(春秋社) 
アブラハム.H.マスロー『人間性の最高価値』上田吉一訳 (誠信書房)
マーティン・A・リー他『アシッド・ドリームズ』越智道雄訳(第三書館)

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【ブックガイド】

変性意識に入りやすくする、心理療法(ゲシュタルト療法)については、基礎から実践までをまとめたこちら(内容紹介)↓
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
また、変性意識状態(ASC)への入り方などその詳細な概要と実践技法は入門ガイド↓
『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』
をご覧下さい。

また、変性意識状態のよりトランスパーソナル(超個)的で広大な世界を知りたい方は、実際の体験事例も含めた↓
『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』
をご覧下さい。

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『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』

↓より多様で深遠な変性意識状態についてはコチラ 動画解説『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』

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