ゲシュタルト療法では、「5層1核」と呼ばれる感情表現の階層性についての説明があります。
ところで、普段私たちは、心の深いレベルからの感情表現を行なうことはしません。
そのため、心の深いレベルからの感情表現をしても良い場面、たとえば心理療法のセッションなどにおいても、簡単に深い感情表現するということが難しくなってしまっているのです。
心が硬直・硬化してしまっているのです。
心の中に、「壁」できてしまったともいえます。
そのため、自分自身でさえ、自分が本当に感じていることがわからなくなっているのです。
決まりきった「役割的な自我状態」の感情しか表現できないのです(自分でも触れることができないのです)。
私たちは、よく「頭の中が真っ白になる」というような表現を使います。
頭が真っ白になる場面とは、いつもの自分のパターンと外れていて、何をやっていいのかわからない時です。
その時パニックになってフリーズして、頭の中が真っ白になるわけです。
深い感情の層についても似たようなことがあるのです。
日常のパターン化された感情と、その先の解放された深い感情の領域、その中間にある「壁(生き詰まり)」の領域、そのようなことを解説したのがこの「5層1核」というモデルになっています。
ゲシュタルト療法のセッションの中では、その「壁」を越えることができます。
特別な環境と特別な技法によって、自分の深い感情に近づき触れ、それを解放することができるからです。
そのことを通して、私たちは、本然の深い感情を生きられるようになっていくのです。
下の動画では、そのようなことについて解説を行なっています。
※ゲシュタルト療法については基礎から実践までをまとめた拙著
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
をご覧下さい。