創造と夢見の技法 NLP・ゲシュタルト・夢見 その2

別に、「NLP(神経言語プログラミング)・ゲシュタルト・夢見」と題して、これらの各技法が扱う、心の領域が地続きを成してつながっている様子を見ました。

今回、ここでは広く、人生で結果(アウトカム、アウトプット)を生み出す創造と具現化の技法について考えてみたいと思います。

 

◆創造過程と身体感覚

さて、拙著『砂絵Ⅰ』の章、「夢見の技法」の中では、私たちを貫く創造的な潜在能力(夢の力)をどうやって引き出せばよいのかについて、さまざまに検討しました。
拙著『砂絵Ⅰ: 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』

そして、その際に、フランスの哲学者メルロ=ポンティの、

「画家は、その身体を世界に貸すことによって、世界を絵に変える」

木田元他訳『眼と精神』(みすず書房)

という言葉を引いて、私たちが、心身を世界に投影して、物事を、(M.ポランニー的にいう)「暗黙知的」に把握していく事態について見ました。

そして、この現実世界の対象物(目的、作品)と、投影した身体が内的につながっていくという情報回路(通路)の中で、強い夢(無意識の創造性)の力も、潜在意識から引き出されて来ることについて見ました。

そして、その夢の力を組織化して、強度なアウトプット(成果物)として、外在化・現実化していく方法について検討しました。

さて、ところで、このような潜在意識の夢の力を、活かしていく方法論というものは、人生上の願望(目的)を達成する中においても、決定的な重要な事柄でもあるのです。

というのも、私たちを、真に駆動してくれる力(渇望)とは、私たちにもよくわからない無意識・潜在領域に存在している夢の力だからです。そこにこそ、どこまでもやり切れる無尽蔵の力が埋蔵されているからです。

そのため、具現化したい目的を持っていて、それを「達成したい」という場合には、「私は本当に、底の底で、それを願っているのか?」潜在意識を照らして、よく探索してみないとわからないからです。

夢見の技法的には、その目標の姿(像)を、身体の奥でよく感じてみて(そこに心身を投影してみて)、その姿(像)と、自分の奥底の感覚との間に誘引感情(強い魅惑や幻想)が流れているか、夢の力が流れているかどうかを感じてみるのです。

その目標の姿と、深層の感覚とが、強く惹きあい同調するような事態をはっきりとした〈実在〉やエネルギーとして感じ取れるのであれば、それは目的の方向性としては間違っていないということになります。

もし、どこかに違和感や不足を感じるのであれば、その目標にどこかにおかしなところがあるということです。

その場合は、自分の潜在意識を再探索して、目標を再設定しないといけません。


◆身体的につかむ

さて、私たちが何かを創造していくに際して、鍵となるのは私たちの能動的な意識過程や思考過程(拡散的・収束的)だけでなく、その背後で主体を吸引してくる潜在意識(夢)の創造過程となります。俗にいう「霊感(インスピレーション)」部分もそこに含まれます。

そのため、そこにおいては、潜在意識(夢の力)と関わる身体感覚(身体性)がとりわけ重要となるのです。

自分の身体感覚の投影を、サーチライトのように使って、対象物(目標・欲しいアウトプット)とつながることで、私たちは自己の動機付けや潜在意識、創造力を引き出すことができるのです。

ところで、別のところで、NLPを有効に活かすための「現場の情報空間」について、触れました。

その際においても必要なのは、現場の膨大な情報空間に「身体的」に同調・同期しつつ、統御・利用していくということなのです。ここにおいても、私たちの身体感覚が、素地(前提、器官)として重要となるのです。

さて、そのように、私たちは、自分の「身体感覚」に意識的になり、意図的に利用することで、潜在意識の夢の力を導き、組織化し、高電圧化したアウトプットを創り出していくことができるのです。

そのことを通して、「本当に欲しい」アウトカム(結果)を手に入れることができるのです。

 

【ブックガイド】
ゲシュタルト療法については基礎から実践までをまとめた解説、拙著
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
をご覧ください。

気づきや変容、変性意識状態(ASC)を含むより総合的な方法論については、
拙著
『気づきと変性意識の技法:流れる虹のマインドフルネス』

および、
『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』
をご覧下さい。