「気づきの連続体」って何?~「今ここ」の力2~ゲシュタルト療法入門6

◆「気づきの連続体」とは?

シリーズの前回の記事「本当の〈気づき〉って何?~ゲシュタルト療法が教えてくれる「今ここ」の力~」では、気づきのもの「本当の力」について解説しました。
本当の〈気づき〉って何?~ゲシュタルト療法が教えてくれる「今ここ」の力 ~ゲシュタルト療法入門5

 今回の記事は、その気づきの力を実感できて、かつ、それを鍛えることのできるエクササイズ「気づきの連続体」をご紹介します。

気づきの“3つの領域”とは?

ゲシュタルト療法では、〈気づき〉が作用する領域を、3つに分けて整理します。

内部領域(身体の中)

心臓の鼓動、筋肉の緊張、身体感覚のフィールド。
感情、情動など。
この体内に、感情、情動が含まれているところが重要です。

外部領域(外界)

視覚、聴覚、触覚など、五感で直接感じる外部環境。
「いま・ここ」で起きている外の現実。

中間領域(思考・空想)

頭の中の言葉、イメージ、過去の記憶や未来への空想など。
内でも外でもない中間の「思考の世界」。


なぜこの3つの領域?

人は無意識のうちに、これら3つの領域のうち、どれかに偏って注意を向けがちです。

たとえば、
・外部で傷ついた人が、空想の中に逃げ込む
思考過多の人が、身体の感覚や外界への感度を失っている

こうした偏りが、心の“動きの幅”を制限してしまいます。
その人の「リアリティ」が制限されているということでもあるのです。
特に、現代人は、「中間領域/マインドの世界」に、意識をとらわれています。

ですが、自分が「どこに意識を置いているか」「囚われているか」を気づけるようになるだけで、この偏りは少しほぐれていくのです。


「気づきのエクササイズ」:誰でもできる簡単な実践

ここでは、実際に体験できる簡単なエクササイズをご紹介します。
これはゲシュタルト療法の中でも使われているものです。


エクササイズの手順

①2人1組になります(1人でもできます)。
AがBに何度も早いペースで問いかけます:

A:「今、何に気づいていますか?」
B:「私は今、○○に気づいています」

これを数分間、繰り返します。

回答例(3つの領域に分けると…)

  • 「あなたの声の響きに気づいています」 → 外部領域
  • 「肩のこり/焦る気持ちに気づいています」 → 内部領域
  • 「明日の仕事のことを考えていることに気づいています」 → 中間領域

このように、自分の答えを「どの領域の気づきか?」に分類することで、自分のクセや偏りが見えてきます。


気づきのメタ的な力

 このエクササイズを続けていくと、各領域を横串に横断し、一貫して存在している〈気づき〉の連続体 awareness continuum に気づくことができます。
 気づきを、ずっと「連続/持続」させていくと、気づきの難しさや真の力が実感されやすいのです。

 これが、〈気づき〉の真のあり様なのです。
 世間一般で言われている「気づき」などは、気づきでもなんでもないのです。
 そして、このようにエクササイズを通して、各領域に囚われない〈気づき〉の本質的/統合的な力を体験していくことができるのです。
 また、その力を鍛えていくことができるのです。


◆気づきは、癒しと変容のはじまり

このような「気づきのエクササイズ」は、日常的にする必要があります。
そのことで、状況に影響されない、体験に左右されない〈気づき〉の力を育てていくことができるのです。
本当に大切なのは、練習の場だけではなく、普段の暮らしの中でどれだけ気づきの力を鍛えるかどうかです。

そして、感情・身体・外界・思考という複数の領域に、流動的に、バランスよくコンタクト(接触)できるようになることが、人の心と行動を自由にし、人生を統合的に生きるための基盤になるのです。


まとめ:何に気づいていますか?

「あなたは、今、何に気づいていますか?」

この問いに、毎瞬間、毎瞬間、答えていくことで、
あなたの「今ここ」は確かな輪郭を持ちはじめます。

気づきは、人生の回復力です。
気づきは、あなたが本来の自分に戻る入り口です。

そして、それはいつでもこの「瞬間」からはじめられるのです。

▼グループを活かして実感を深める、プレイフルなワークショップです。
ペルーにいるMiyukiさんと行ないます。

「サイケデリック・ルネサンス」として、NHKでも特集が組まれて注目が集まるサイケデリックス。その淵源は、サイケデリック・シャーマニズムにあります。その真の実像を、ペルーのMiyukiさんとお届けします。