ゲシュタルト療法では、しばしば言葉の使い方に注目します。
言葉の使い方で、自分の欲求(感情)を活かしも殺しもするからです。
私たちは、日常であまり意識しない言葉の使い方によって、自分の欲求(感情)をないがしろにしたり無力にしたりしてしまっているのです。
そのため、ゲシュタルト療法では、ワーク(セッション)の中でも、しばしばクライアントの方の言葉遣いについて指摘をします。
そして、表現(言葉)の言い換えを行なってもらったりします。
そのことによって、クライアントの方の感じ方がグッと変わり、自分の欲求(感情)にコンタクトしやすくなったりするからです。
言い換え法にもパターンがいくつもありますが、今回はそんな言葉の言い換えで、ワーク(セッション)中にしばしば生ずるものについて取り上げてみたいと思います。
◆「でも」ではなく「そして」
さて、私たちは普段の生活でも、ある人物に対して相反する感情を持つことがよくあります。
ゲシュタルト療法のワーク(セッション)でも、エンプティ・チェアを使ったロールプレイ場面などでも、そのような風景が展開します。そのような時人はよく言います。
「私は、あなたのことは好きです。でも、○○なところは嫌いです。」
「私は、あなたのことが好きです。でも、○○なところに怒っています。」
というような具合です。
相反する二つの気持ちを、「でも」「しかし」「だけど」と逆接の接続詞で結ぶのです。
怒りや嫌悪という自分での受け入れがたいネガティブな(陰性)感情の言い訳に、好きだというポジティブな(陽性)感情を引きあいに出して中和している面もあります。
しかし、ゲシュタルト療法ではそのような逆接の接続詞は、それぞれの欲求(感情)を殺す言葉だと考えます。
二つの欲求(感情)を葛藤させ、ぶつけて相殺してしまう言葉遣いだと考えるわけです。
そのため、ゲシュタルト療法ではこの逆接の接続詞を「そして」という並列の接続詞に言い換えてもらいます。
「私は、あなたのことは好きです。そして、○○なところは嫌いです。」
「私は、あなたのことが好きです。そして、○○なところに怒っています。」
普通、日常では、耳にしない日本語です。
さて、実際に身近にあるこのような事例を思い出して、声に出してそれぞれの言い方で言ってみて下さい。
言い換えてみて、その違いを味わってみて下さい。
からだの中でその感情がどう響くか感じてみて下さい。
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この違いが分かったでしょうか?
並列の接続詞は、それぞれの欲求(感情)を活かす言い方です。
ポジティブな(陽性)感情もネガティブな(陰性)感情も、どちらも自分の欲求(感情)としてきちんとコンタクト(接触)することができます。
その欲求(感情)につながることができるのです。
→複数の自我状態について
どちらの欲求(感情)も真っ直ぐに感じパワーとして生きられるのです。
どちらの欲求(感情)も、自分の欲求(感情)として責任をとって引き受けられるのです。
それ自身として受け入れられ、肯定されるのです。
ゲシュタルト療法では、自分の欲求(感情)はポジティブな(陽性)感情であれネガティブな(陰性)感情であれ、すべて意味のあるものとして肯定します。
責任を取って受け入れて(受容して)いきます。
それが、生体としての自分の全体性(生命)を生きることにつながるからです。
そして、それはこのような言葉遣いの側面からも意図されているのです。
【ブックガイド】
ゲシュタルト療法については基礎から実践までをまとめた拙著
『ゲシュタルト療法 自由と創造のための変容技法』
をご覧下さい。
変性意識状態(ASC)のより総合的な方法論は、拙著↓
『流れる虹のマインドフルネス―変性意識と進化するアウェアネス』
および、よりディープな
『砂絵Ⅰ 現代的エクスタシィの技法 心理学的手法による意識変容』
をご覧下さい。
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